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に伴ってもっと高くつくということ、および将来高齢人口と労働人口がともに、さらに高齢化すること等、条件が益々悪くなっていくことを意識しなければならない。それゆえ、将来政府の力で全般的に老人福祉を高い水準(例えば今の先進国並の水準)まで引き上げることは、今の徴税率(約20%)では非常に難しいと思う。しかも、将来徴税率を高める可能性も小さい。それでは、如何にすれば良いかと言えば、政府は重点式の老人福祉政策を取るべきではないかと思う。すなわち、政府は最も重要な高齢者グループあるいは項目を選んで介入し、残りは奨励政策をとって、民間団体あるいは家族の協力で一緒に問題を解決していくことである。
このような理解のもとで、台湾の将来の高齢者福祉を展望する時、以下の各方面に力を入れるべきではないかと思う。
1)年金制度の企画と実施
年金制度は高齢者の経済保障の最も重要項目であろう。前章の表2−20に示すように、皆が一番政府に提供してもらいたいのが年金制度である。社会が、農業を主とする世襲制度から、工業化、都市化した社会に入った後、老人を自分の家庭内で扶養することが難しくなった。つまり、自分の子供が段々あてにならなくなった。もちろん、個人の蓄積等に頼ることもできるが、インフレとか、他の原因であまりうまく行かない。それで、どうしても政府が介入し、強制的な制度を割らなければならない今、台湾の年金制度は、行政院経済建設委員会で企画中であるが、如何なる制度をとるべきであるかはまだ未定である。完全に税収から支給するのは簡単で、すぐに支給できるが、税率を高めることは非常に困難で、人口高齢化に伴って負担が重くなり、受給者と納税者の間には直接の関係がない。これはつまり、世代間の所得の移転である。それでは、公積金制(強制貯蓄制)にすると、受給者と負担者が一致して公平で、政府の負担も軽いが、国民の負担率が高く、インフレの影響も免れられず、巨大な基金の運用は、重大な責任である。それで、折衷案として社会保険制を採用したらどうか、という声が出る。この制度は権利と義務対等の精神を維持し、負担率もあまり重くなく、支給準備金は需要によって調整できるが、制度の内容が複雑で、経済的公平と社会的妥当性にまだ討論の余地があり、行政のコストが高くなる。とにかく、いずれにしても、早く決定しなければ高齢者の経済保障は夢となる。もちろん、現在すでに存在する公務

 

 

 

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